2003年11月25日
スタジオ・ジブリがブログしてくれたら
来年2004年は3月に押井守監督のイノセンス、夏に宮崎駿監督のハウルの動く城、秋には大友克洋監督のスチームボーイと注目アニメーション作品が続々と公開される予定です。観客動員数のインパクトの大きさを考えると、アニメーション業界というより、日本映画界という枠でも日増しに期待度は上がってくるのでしょうが、何気なく見て面白いな~と思ったのはスタジオジブリ・ホームページのスタジオジブリ日誌。「原画作業がどれぐらい終わった」とか「10/14のツール(ツーリング)・ド・信州の話」などなど、ものすご~く現場レベルな進捗、期待度の高まりを見ることができます。その他にもスタジオジブリ出版部たよりでは、ジブリから出版される本について結構詳しく書いてあるのですが、例えば堀田善衞氏の著作を復刊するにあたっては、
それにしても、どうしてジブリが堀田氏の作品を復刊するのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。
そもそもジブリと堀田氏とのお付き合いは、、宮崎駿監督が私淑している、かけがえのない作家だ、というところからスタートしました。『天空の城ラピュタGUIDEBOOK』に「アニメーションを作る人々へ」と題して寄稿いただいたこともありましたし、堀田氏と宮崎監督は『時代の風音』で、司馬遼太郎氏を交えて鼎談したこともあります。こうした交流は、宮崎監督の『もののけ姫』などにも色濃い影響を及ぼしていると思います。
宮崎監督は、今回のDVD-BOXの企画に関して次のような言葉を寄せてくれました。
「堀田さんは、海原に屹立している巌のような方だった。潮に流されて、自分の位置が判らなくなった時、ぼくは何度も堀田さんにたすけられた」。
今回復刊する3冊は、宮崎監督だけではなく、時代に不透明感を感じている多くの人の助けになるのではないかと思っています。(スタジオジブリ出版部だより”2003.9.26 故・堀田善衞氏の作品の復刊”より)
というように、単にジブリ作品の関連書籍の販売促進ではなく、ジブリ作品の周辺、あるいは影響を与えたという意味では、作品の源流ともいえる文学やアートへの言及があります。
宮崎駿監督と堀田善衞氏、司馬遼太郎氏の対談集『
時代の風音』を読んだときに驚いたのは、映画、小説という最終的な完成品になる以前の段階、御三方の頭の中で醸造されている膨大な知識による対談の内容の濃さ。資料を見ながら話しているわけではないと思われるのに、歴史の細部に踏み入る情報量の多さは、ほとんどマニアックと呼べる領域で、インタビュアーが作品について質問するインタビュー形式とは違った面白さがありました。
「逆に言うと一つの定理の周辺には、その発見者のプライベートな部分がたくさんあるのですが、あえて落とされているんです。」という
荒俣宏さんの言葉を思い出しましたが、そういった今まで”あえて落とされている”周辺の思考、知識というものに触れられると、それまで一つの作品として観ていたものの前後の文脈(
Context)が見えてくるのかな、と思います。例えば読売新聞のサイト内の「
ジブリがいっぱい」というコーナーも、ジブリ関連のニュースや、インタビュー/100人のジブリ、などの形でその周辺には触れられるのですが、どうしても1~2ページのインタビューで触れることのできる領域の限界は感じます。
そういう意味で、ブログはビジネスになるの?というような議論とは別に、スタジオジブリ、宮崎監督のブログが読みたい、というニーズは確実に存在するわけで、そのニーズは何なのか?ということを考えると作品、あるいは作者の思考の”周辺”に直接通じる抜け道ができる、というのはトトロの森の秘密の抜け道のようで、なかなか楽しそうではあります。
Posted by jkanekomt at 2003年11月25日 16:50
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