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2003年12月05日

ブログはキャズム(ハイテクの落とし穴)を越えてブレイクするのか?

「あなたは、いつ、なぜブログを始めましたか?あるいは始めるつもりですか?」
他の人のブログを頻繁に読んでいる時点で、おそらく既にブログを始めている人が多いのかもしないが、この質問に自分で答える、あるいは周囲の人のブログへの反応を照らし合わせることで、技術としての”ブログ”がテクノロジー・ライフサイクルのどの段階にあるのかが分かるのだろう。
答えは色々あるが、例えば

「1年以上前から、オープンソースコミュニティーで話題になっているから使い始めた」

「自分の集めている情報を、うまく整理できるツールが無いかと探していたら、知り合いの技術に詳しい人に『ブログっていいよ』と進められて使い始めたら、はまった」

「ブログという単語は聞いたことがあったけど、最近は解説本がたくさん出版されてるし、大手のプロバイダーも採用し始めたみたいだから、ちょっとやってみようかなと思い始めた」

「どうせよくある流行モノじゃないの?なんとなく、ブログをやってる人が増えてきたら気になるけど、まあ、面倒くさいし、とりあえずいらないでしょ」

「そもそもインターネットで個人が書くようなモノは便所の落書きみたいなものだ」

どんな答えになるだろうか?その答えを有名なジェフリー・ムーアのテクノロジーライフサイクルとキャズムにあてはめて考えてみると、、、


キャズム
ジェフリー・ムーア (著), 川又 政治 (翻訳)

テクノロジー・ライフサイクル

casm.gif

「イノベーター = ハイテクオタク」
最大の関心事は新しいテクノロジーであり、製品がどのように役立つかということは二の次。機能を試して楽しむだけのために、新製品を購入することも少なくない。

「アーリー・アドプター = ビジョン先行派」
他者に先んじて投資しようとするビジョナリー。ライフサイクルのかなり早い時期に新製品を購入するが、技術指向ではない(=イノベーターとの違い)。新しいテクノロジーのもたらす利点を検討、理解、評価して、現在抱えている問題にテクノロジーを適用してみようと考える。

「アーリー・マジョリティー = 価格と品質重視派」
実利主義者であり、普及の鍵を握る。アーリー・アドプターと同じく実用性を重視するが、まず他者の動向を窺おうとする。他者の導入事例を確認してから、その製品を購入しようとする。

「レイト・マジョリティー = みんなが使ってるから派」
保守的。アーリー・マジョリティーはハイテク製品を扱うことに抵抗を感じないが、レイト・マジョリティーは、製品の購入が決まったあとでも、自分で使うことに多少の抵抗を感じる。その結果、業界標準が確立されるのをひたすら待ち続け、手厚いサポートを受けるために、実績のある大企業から製品を購入したがる。

「ラガード = ハイテク嫌い」
無関心層。ハイテク製品には見向きもしない。ハイテク製品を買うのは、他の製品に組み込まれ、目に見えないときのみ。

キャズム
テクノロジー・ライフサイクルにおいて、越えるのが最も難しい溝。アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間のクラック。アーリー・アドプターは”変革のための手段”を求めるが、アーリー・マジョリティーは”現行オペレーションの生産性を改善する手段=変革ではなく進化”を求める。キャズムを越えるということは「先行事例と手厚いサポートを必要とする顧客を、有効な先行事例と強力なサポート無しで攻略しようとすること」なので難しい。


ひとまず自分が何派かは置いておいて、ブログ技術が今、テクノロジー・ライフサイクルのどこにあるのか?を考えると、まさにキャズムに指しかかろうとしているのでしょうか。書籍では「ハイテクをブレイクさせるマーケティング理論」と副題がついている通り、企業がハイテク製品を売り出すにあたって、どのようにキャズムに向き合うべきかが論じられています。ただブログが面白いのは、”ブログ”という一つの商品があるわけではなく、オープンソースから有料のアプリケーション、はたまたネット上のサービスまで”ブログ系”という曖昧にくくられた、数多くのプロダクトがあることです。さらにはRSS, ATOMといったフォーマット、APIもこれに含まれるでしょう。
キャズムをどうやって越えるか?という詳細は、ぜひ書籍を参照いただきたいのですが、ブログをめぐる面白いポイントは、「アーリー・マジョリティー = 価格と品質重視派」を説得する材料は、増え続けるブログサイトそのものが提供してくれつつある、ということではないでしょうか。
自分が興味を持っていることをテーマにしたブログを見つければ、ブログで何ができるの?という疑問に対する具体的な答えになる。ブログツールの使い方が分からない?カスタマイズはどうするの?という質問は、既にブログを立ち上げた人が大抵、手近なテーマとして最初に書く記事の内容です。
だからといって、必ずブログがブレイクする!という根拠にはなりませんが、実はこのポイントには重要な側面があります。開発する、利用するためのノウハウが蓄積されているツールこそがキャズムを越えられる。つまりブログ=日記のようなことができるアプリであればいい、というわけではなく、ブログ的な開発手法でツールがつくられているか?そのツールについてユーザーが沢山のサポート情報を公開してくれているか?その条件を満たす一部のツールがキャズムを越えていくわけであって、”ブログ系”なる曖昧なモノがキャズムを越えるわけでは無いということです。そこに開発コミュニティーとブロガーが渾然一体となったブログの面白さがある。新しい開発手法自体が形成されつつある、という側面にエンジニア心が刺激されるのかもしれません。

Posted by jkanekomt at 2003年12月05日 21:13 | trackBack



Comments

こんにちわ。
京都大学の学生のなのですが、こちらで使われている
テクノロジーライフサイクルの図をパワーポイントに
使わせていただけないでしょうか?

そのパワーポイントはゼミでの内輪の発表にしか
用いないのですが、念のため報告させていただいた
しだいです。

あと、ゼミのHPは以下のようになっています。
http://suematsulab.net/

Posted by: hirono at 2004年06月02日 01:10

つかっていただいても問題ないですよ!

Posted by: Jun Kaneko at 2004年06月03日 10:04
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