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CNET主催のフォーラム「次世代のIT戦略を考える」を聞いてきました。無料のフォーラムでしたが、非常に内容が濃くて面白かったです。大きなテーマの一つとして、今後のITインフラが、Open Sourceに代表されるオープンなシステムに移行していくのか?日本企業は、そのようなオープン技術に対応できるのか?という点が、パネルディスカッションでも盛り上がりを見せていて興味深かったです。
もう一つのキーワードとして、ユーティリティー・コンピューティングがあったのですが、勝ち組になるのではないか、といわれているsalesforce.com(セールスフォースドットコム)の詳しい紹介を聞くと、こちらもシステムのオープン化と密接に結びついていることが理解できました。
企業のITシステム開発の手順としては、コンサルティング、SI企業が顧客企業のビジネス要件を分析して、要件にあわせたシステム設計、開発、導入を行います。ただ、以下のような問題点がよく指摘されます。
まず第一に、要件分析の段階で、顧客企業のビジネスプロセス、本来のニーズを十分に把握しきれないケースがある。これは日本企業における知識の蓄積が十分に文章化されておらず、現場の人のノウハウに依存しており、要件のヒアリングの対象となる人が、かならずしも、すべての業務フローを把握しているわけではないことに起因します。
第二には、システムの開発が完了し、導入した後に、継続的にシステムの効果をモニタリングする、効果を数値化して評価する機会が少ない。一度、開発が完了、納品した時点で、契約が終了するので、アフターケアに開発リソースを投入するインセンティブが、コンサルティング、SI企業側に低いという点があります。
このような既存の問題に対しては、RFP(Request For Proposal=提案依頼書)をしっかり書きましょうとか、導入後の効果測定をしっかり行いましょう、など様々な改善策が提示されてはいます。しかしながら、公演を聴いていて思ったのは、果たしてビジネスプロセスの何パーセントが特殊ケース、個々の企業の業務に依存するのだろうか?という疑問です。間違った、あるいは不十分な業務分析に基づいて、個別に作りこまれたシステムは確かに導入に失敗するでしょうが、ツールとしてのシステムがより汎用的であれば、すくなくとも”まったく使えない”ということは無いと思います。例としては極端かもしれませんが、サイボウズ(スケジュール管理)や、あるいはパワーポイント、エクセルの導入に失敗する、というケースはありえないと思います。
そこでsalesforce.comの提供するユーティリティー・コンピューティングですが、ツールとして、とにかくまずは使ってみる、という特徴があると思います。
salesforc.comの説明(コベルコシステムズ)
salesforce.comは、Webで本格的な統合型CRMを実現した次世代ASPサービスです。
本サービスは開始わずか2年余りで、導入企業5000社を上回り、全世界でナンバーワンの地位を獲得しました。1ユーザ 5,000円からの利用料金でWebに接続できる環境であれば、社内・社外そして海外からでも自由にアクセスし、正確な情報にもとづいた効果的なビジネス戦略を可能にします。
1. マーケティング オートメーション(MA)
2. セールスフォース オートメーション(SFA)
3. カスタマーサービス&サポート(CSS)
salesforce.comは月額料金でご利用いただけるASPの総合オンラインCRMサービスです。ASPなので、初期投資にかかるサーバーやソフトウェアライセンス料、インストールやメンテナンスの手間がに悩まされる事無く、常に最新機能をご利用頂けます。
本当の最初の一歩としてはsalesforce.comのサイトで無料登録して、名詞管理のような、小さなアプリケーションから試用することができます。
この仕組みは、初期開発コストの代わりに月額料金を払う、という単純な価格モデルの違いだけではないと思います。例えば、ある会社の営業担当の一人が自発的にsalesforce.comに登録して、まずは無料で使い始めた場合、明確なビジネス分析・設計フェーズも無く、いきなりCRMソリューションが導入されるようなものではないでしょうか。もちろんsaleceforce.comのより高度な仕組みを利用する上では、ある程度の導入期間が必要とはなると思いますが、公演時のデータによれば、salesforce.comの平均的な導入期間は3ヶ月とのことで、これは圧倒的に短い期間です。
月額料金は、利用する機能に応じて、段階的な月額料金が設定されています。ツールに関するユーザーの学習曲線に応じてステップアップしていけるようになっています。
つまり、導入時点では要件分析が完了して無くてもよい。システムに対するニーズは、実際にユーザーが利用しながら自発的に発見していく。事後的な効果測定プロセス自体が、要件分析となっている、ともいえるのではないでしょうか。
公演の中で、アレン・マイナー氏がAmazon.comになぞらえて説明されていた部分が印象的でした。Amazon.comにアクセスすれば、初めてでも、ほとんどの人が本の購入を成功することができる。さらには使い慣れてくれば、レコメンデーション機能などのより複雑な機能を使いこなすことができるし、あるいはAmazonが年に数回、システムをバージョンアップしたとしても、ユーザーはそれを意識することなく、新しい機能に気づいて使うことができる。
これに対して既存の企業システムに組み込まれたOracleをバージョンアップしようとすると大変な労力になる。新しい機能が追加されることのメリットよりも、既存のシステムの動作を保障するのが大変な作業となるが、しかしながらこれはユーザーとは関係ない、SI企業の問題だと。
オープンアーキテクチャに移行すると、個別のシステムでは差別化が難しいので、ソリューション志向、ユーザーの問題解決を重視すべきだ、との話はよく聞かれます。しかしながらsalesforce.comのような、ユーザーが自分自身でビジネス上の課題を発見しながら、徐々に複雑な機能へとステップアップしていける、しかも世界共通のグローバル・プラットフォームが提供された時に、はたしてどれぐらい”個別ソリューション”が必要な特殊ケースがあるのか、マーケットボリュームとしてはマスではないような気もします。
salecforce.comが、当初は中小企業などの”いままではコストが高くて導入できなかった”ローエンドな市場を攻略し、徐々に付加価値の高いレイヤーを侵食しているのも、GoogleのAdSenseによる新市場型破壊にも似ています。1999年に設立、2000年の50億円の資金調達で一気に技術基盤を完成、2003年には損益分岐点を越えているのも、新しい市場を開拓していることの証明ともいえます。
Windowsから始まり、Amazon、Google、Yahoo!に加えてsalesforce.comと、ユーザーに一番近いフロントエンドでのグローバルプラットフォーム化と、寡占化が激しく進行しているな~と実感する昨今です。
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