海面は、海の上から見るよりも、水中から眺める方が遥かに美しい。ダイビングや素潜りをしたことがあれば、誰もが一度は海の底から見上げた水面の美しさに見とれた経験があるだろう。どこまでも広がる青い天井が揺らめいて、太陽の輝きが光りの群れをつくり、水の中あたり一面を動き回る。
流線型の体も、強い尾びれも持たない人間は、その中をスローモーションのように漂うだけだ。その姿を横目に見ながら、イルカは優雅に飛び回る。圧倒的にスピードが違うふたつの生物が、限りなく近づける数少ない場所が波の中だ。人間は流線型のサーフボードの浮力を借りて、水の中を伝わるエネルギーの速度まで一気に加速する。その姿を見つけたイルカは、水面を挟んだ反対側から同じ波に乗る。その瞬間に交わしたイルカの視線からインスピレーションを得て、ジョージ・グリノーがつくりあげた映像が、DOLPHIN GLIDE(ドルフィン・グライド)だ。
公式ページ : George Greenough's Dolphin Glide ( Quicktime動画もあります )
21分間のフィルムにおさめられている光景は、この映画を見ない限り、絶対に他では見る事ができないだろう。ジョージ・グリノーの、サーファーとしてのとてつもないチューブライディングのセンスと、水中撮影の機材をDIYで作り上げてしまう技術。そして、まだ開拓されつくされていない時代の、オーストラリア海岸線でのイルカとの出会い。そういったいくつもの偶然が、一瞬のインスピレーションによってリンクして、長い長い撮影期間を経て、ようやく形になったのが、この映画だからだ。
見た事のない映像に、グイグイと引き込まれることは間違いない。それに加えて、音楽もいい。さらに素晴らしいのが、26分のメイキング・ドキュメンタリー。「どうやって撮影したんだろう?」という疑問に答えくれるのはもとより、ユーモアたっぷりのふざけたオヤジであり、ハードコアなサーファー、映像作家でもあるジョージ・グリノー本人の個性が、かなりナイスです。


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