10月6日の三連休、富士山の麓で開催される野外フェス、朝霧JAMに行ってきた。二日間のキャンプ、秋口の心地よい気候、富士山の背後から朝日が昇る静かな夜明け、遠くまで音が抜ける開放的なライブ、皆で食べる野外メシ、あるがまま、そのままが楽しい空間だった。
その中で感じたのは、ライブを演奏するアーティストも、その場の雰囲気にすごく影響を受けているんだな、ということ。二日目のSouliveのボーカル・Toussaintは、「富士山に声が響いて最高だぜ!」とばかりにソウルフルな叫びを爆発させていたし、夕暮れのUAは、会場を包む緑の山麓を超えて、雲のさらに上の、星空まで通り抜ける歌声を奏でていた。そして今回、始めて聞いた、The Bays のパフォーマンスは、ちょっと新しい次元の体験だった。
フェスでは沢山のアーティストが順番に演奏する。それぞれのセットの合間には、ステージ上の楽器が交換され、望み通りの音がでるように、楽器とサウンドシステムの両方にチューニングが施される。音にこだわるアーティスト、サウンド・エンジニアは、この直前の調整に、長い時間をかける場合も多い。The Bays のプレイは、そのようなチューニング・サウンドの音数が徐々に増えるように、ゆっくりと、スムーズにスタートした。そして、これは音楽の不思議なところでもあるのだけれど、曲がいいとか悪いとか、頭で判断する前に、いいライブでは、音がスッと自然に体に流れ込んでくる。リズムに目覚めて末端の筋肉が動きだし、メロディー反応して体全体が揺れ動く。その自分の体の状態に気づいた瞬間に、ようやく脳は遅れて、「これはすごいライブになるのかもしれない」と未来を予想するのだ。体と脳の合意が得られたら、あとはもう、すべては音にゆだねるだけでいい。バンドはオーディエンスの風をうけて、吹走流のごとく音の流れをつくりだす。樹海に囲まれた会場は、一夜限りのサウンド・スケープへと姿を変える。夜の色も濃くなる中、ステージ上にはラストセットのコーネリアス。Shibuya-AXでのライブでは、演奏とVJの完全なシンクロに驚いたけれど、今宵はさらにタイトに、音と映像と風景が完全に調和して、その日のライブが締めくくられた。
そんな余韻を楽しみながら、自宅に戻ってThe Bays を検索してみると、まさに体験したことが書かれていて、なんだかさらに嬉しくなった。ちょっと訳して掲載。
The Bays :: performance is the product
the story so far...
Forget every rule you’ve ever been taught about live music. Ignore every outmoded notion of what it is to be a ‘live’ band. Forget even what you think you think ‘live music’ actually means.
ライブ・ミュージックについて、いままで教えられてきたルールなんて、全部忘れてしまえ。‘ライブ’バンドがどうあるべきか、そんな時代遅れの発想は、全部無視すればいいんだ。というよりも、‘ライブ・ミュージック’が実際に何を意味するのか、って考えていること自体を忘れてしまいなよ。
What drives this band is a need to communicate with their audience in a way not possible with traditional live bands. There are no ‘songs’ as such to perform, there’s no album to promote, there are no commercial imperatives at play. The Bays only perform live, they never rehearse, they don’t have a set-list and they couldn’t ever do the same performance twice. It’s all about the moment – an experience or an event that exists between the band and the audience for one time only.
このバンドを突き動かすのは、オーディエンス(観衆)とコミュニケートすることへの強い要求で、それは、いままでの伝統的なライブ・バンドでは不可能な方法なんだ。そこには、演奏されるべき‘歌’というものが無い。宣伝すべきアルバムも無い。演奏するにあたっての商業的な義務も無い。The Baysは、ライブだけを演奏する。リハーサルもしない。演奏する曲のリストもないし、そもそも同じパフォーマンスを2度することは不可能。あるのは、その瞬間、それがすべて。ひとつの体験、ひとつの出来事。バンドとオーディエンスの間に、たった一度だけ存在することができるもの。
The Bays have no intention of releasing any material in the immediate future, but even if you could capture the performance in digital format, it would only represent a fraction of the total Bays experience. Because what they do that is so unique, so unprecedented, is that they enter into a creative partnership with the crowd, receiving feedback from the dance floor and reinterpreting that response, rewiring the vibe and taking it to a new level.
The Bays は近い将来に、物質的なものをリリースするつもりは全くない。もしかりに、デジタルな形でパフォーマンスをとらえることができたとしても、それは The Bays の全体験の、わずかな一部分を表しているに過ぎない。なぜなら、そのあまりにユニークで、前例のないやりかたで、彼らは群衆とクリエイティブなパートナーシップを結び、ダンスフロアーからのフィードバックを受けて、その反応を再解釈し、バイブを書き換えて、あたらしいレベルへと連れて行くからだ。
Each of The Bays is feeling a progression in the music and is anticipating where the performance is going to next. It could change at any moment and pursue a new direction in a second. Taking the concept of the DJ – presiding over a seamless continuum of music – The Bays drop sets like a live band creating a 90-minute DJ-mix. And reinventing the concept of studio remixing, The Bays are creating new tracks on stage and remixing these ideas live without any planning, verbal communication or commercial consideration.
The Bays の各々は、音楽の進行(プログレッション)を感じながら、パフォーマンスが次にどこに向かうのかを予想している。それは、いつどの瞬間でも変化できるし、1秒で新しい方向に向かうことだってできる。DJ のコンセプト - 途切れなく連続する音楽のイメージを取り仕切る - を引き継いで、The Bays は、90分のDJ-mixを創造するライブ・バンドのように、セットをドロップする。そして、スタジオ・リミキシングのコンセプトを再発明する。The Bays はステージ上で新しいトラックを生み出し、そのアイデアを、事前のプランニングや、言葉によるコミュニケーション、商業的な配慮無しにリミックスするんだ。
The guys are pushing boundaries with their sound. They are giving their audience something radical, revolutionary even. So much so, that if the hype is to be believed, the 21st century notion of what it means to play live will henceforth be understood in entirely new terms - in terms first defined by The Bays.
やつらは音楽で自らの境界を広げていく。オーディエンスに、急進的で、革命的ですらある何かを与えている。そんなわけで、もしちょっと誇大な言い方を信じるとすると、21世紀にライブを演奏するということは、これからはまったく新しい表現で理解されるだろう。The Bays が最初に定義したやりかたよって。
CDなどはリリースしていない彼らだけれど、ウェブサイトには『パーティーに来た人へのお土産』として、たくさんのライブ音源が自由にダウンロードできるように公開されている。早速ダウンロードして、携帯音楽プレイヤーに転送。都心へと向かう電車の中で、イヤホンを耳に差し込み、2005年にヨーロッパのどこかでプレイしたThe Bays のサウンドを再生する。Welcome Back ! 目を閉じれば、朝霧で見た、音の世界へと再び意識がリンクしていく。
「ベイズは何だって出来るんだよというフリーダムの現れじゃないかな。ピュアリストになると危険だと思う。ルールに縛られて、ロックがダメとか、何々がダメとか言い出すと、可能性を無くしてしまうと思うんだ」
『 Interview : The Bays』(日本語です) より

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コメント
Lが一個多いですよ。
あっ soulive ですね。ありがとうございます。