2008年6月29日

Land's End ケルト神話の面影を見る

イギリス旅行『5月の長い夕日』より続く。

なんだか忙しくて、長らく間が開いてしまったけれど、残りのイギリス旅行の写真をアップしてしまう。Newquayで3泊、サーフィンを楽しんだ後には、グレート・ブリテン島の最西端、Land's Endを目指してドライブ。大西洋を右手に見つつ、緑の丘陵地帯を南下。途中の、St Ivesという小さな港町で休息。



あいにくと天候が崩れて、曇り空が広がってきたけれど、港の周辺にレストランやパティストリー、ギャラリー・ショップなどが立ち並び、なかなかの賑わいを見せています。南イギリスの光の色に魅せられて、この街に移り住むアーティストも多いそう。ロンドンのTate ギャラリーの姉妹館にあたる Tate St Ives もあって、白い砂浜を背景に現代アートを鑑賞できます。

St Ivesから、さらに車を走らせること数時間。雨から霧にかわった道の先には、ますます人家の気配が消え、半島を越えるたびに、陸の行き止まり感が漂ってくる。ひとまず6時過ぎに今夜の宿、Sennen CoveのOld Success Innにたどり着き、ほっと一息。17世紀に建てられた古いB&B。目の前のSennen Cove Beachは、Cornwallのなかでも、もっとも多くの方面からのうねりをキャッチするサーフポイントということだけれど、残念ながら波はなし。広いビーチには、寒空の下、冷たい水のなかではしゃぐ、季節外れの女子数名と、それをぼんやり眺める小さなレンタル・ボードショップの店員のみ。まだ外は明るいので、最西端のLand's Endに向かってみることにした。



もう夜も8時近くなのに、長い昼の残照が、まだ白い霧に反射している。大型観光バスが数十台停められそうな、空っぽの駐車場に車を停めると、誰もいない散策コースをザクザクと降りていく。昼間は土産物の屋台でも立ち並ぶのだろうが、もはや静まりかえった休憩所の裏手から、一群の黒い鳥がざっと飛び立つ。どこからともなく一匹の猫が現れて、時間外の闖入者をたしなめるように、目の前で何度か背伸びをすると、霧のなかに消えて行った。




静けさを増した草むらの小道を、海にむかって歩く。水分を潤沢に含んだ海風をうけて、つやつやとした草葉の先には、無数の花が咲いている。背丈ほどもある岩石も、びっしりと苔に覆われて、一帯が不思議な生命力にあふれているようだ。





道はついに途絶え、切り立つ崖の下で、大西洋がゆらめている。しばらくの間、海を見ながらたたずんでいると、水平線に立ちこめていた霧が、一陣の風に乗って陸へと駆け昇り、あっという間に周囲を包み込んでしまった。








『日が暮れる前に帰った方がいい』と、何かに言われているような気がして、足早にLand's Endを後にした。コーンウォールに色濃く面影を残す、ケルト神話の世界観を、そこはかとなく感じられる場所だった。




 

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作成日 : 2008年6月29日 21:59

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