しあわせなのかしら? 江国香織の最新刊 「赤い長靴」 

二人なのに一人ぼっち、
ただふわふわと漂っている。
寄る辺もなく。

日和子はしあわせなのかしら?
ちっとも私にはわからない
でも、どうやら、私だったら
しあわせじゃないって思ってしまう種類の
しあわせを日和子はもっているみたいで
どうやらしあわせらしいので
きっと、しあわせなんだろう
結局、自分のこともよくわからない私には
二人のことは、ましてや、
自分の経験していない年齢と結婚のことなのだから
わかるわけがない

こっそりと他人の日記をのぞくような
気分で読んだこの本を片手に
お風呂のなかで軽く頭をひねってしまったけれど
(お風呂の読書ほど好きなことはないかも)
この結論にとりあえずいたることにした
考え続けていたら
お湯が冷たくなってきたので

***

今日の帰りの電車の中で
同じ本を読んでいる同じくらいの年齢の女の子がいたけれど
彼女はどう思ったのだろう

***

私はちょっと心配しちゃう
経験していないことを作者は言葉につむげないの?
画家は絵にできないの?
好きな人の描く世界がどこからきているのか
不安になってしまう
(ちょっと似た思考パターンの私だから)

***

24時間くらいたって
日和子のことをまた考えた
それから逍三のことも
そして思ったのだけれど
ふたりはふたりの世界をつくって
しあわせなんだろうな、と

***

結婚して10年、
幸福と呼びたいくらいな愉快さとうすら寒いかなしみ、
安心でさびしく、所在なく・・・・・・。
日々たゆたう心の動きをとらえた
怖いくらいに美しい、連作短編小説集。
(本の帯より)

***

江国香織は非常にことばの感覚が好きで
もう大好きなので、好きとしか言えない作家です
またしても美しい空間のある一冊です

日和子はしあわせなのかしら?

赤い長靴

江國 香織

文藝春秋 2004-12-10
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