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February 4, 2005

裏に隠されたもうひとつの物語 シャローン・クリーチ 「めぐりめぐる月」 

人をとやかくいえるのは、
そのひとのモカシンをはいてふたつの月が過ぎたあと
(インディアンの格言)

 アメリカン・インディアンの血をひく13歳の少女サラマンカ・ツリー・ヒドルが、祖父母といっしょに、オハイオ州ユークリッドからアイダホ州ルーイストンまで、3000kmのアメリカ横断ドライブ旅行をし、家を出たまま帰ってこない母親を訪ねる過程を描いた小説。訳者あとがきにあるのだが、日本の北から南が2500kmと考えると途方もない距離!
 突飛な祖父母との道中、サラマンカは、旅の退屈しのぎとして親友フィービーをめぐる事件を祖父母に語り聞かせるのだが、話をしながらサラマンカは、フィービーの物語は自分の物語でもあると気がつくのだ。
 自己をみつめ、母との関係を再確認していく旅。一見平坦に聞こえるけれど、笑いも涙もロマンス(13歳の)もある。祖父母の愛、母と父の間の愛が深く感じられる。この話は、13歳の私を思い出させたが、13歳と25歳の私が結局は変わらないということも感じさせた。最後の数章は、笑いも涙も止まらなくて、素晴らしい小説(児童文学にかぞえられている)と出会ったことがうれしい。ぜひ、大人にこそ読んでほしい。
 コレストロール教で想像力の強いフィービー、情熱的な英語教師、マンガの上手なベン(彼の話がくすぐったい!)、目の不自由なおばあさん、自然と調和したお父さん、おじいちゃんとおばあちゃん(ちょっと私の祖父母に似ているのだ)など登場人物が素敵だ。最後に謎が明かされるまでの話の展開は巧み 本をおろせなくなるので、要注意(経験からいえること、長風呂ですっかり風邪をひきそう)もきかずこさんの訳も感覚をよく伝えているように思う。 
 
シャロン・クリーチ(1945-)
アメリカ・オハイオ州クリーブランド生まれ。多くのきょうだいに囲まれ育つ。大学で英語学を修める。最初の結婚に失敗した後、イギリスに渡り、アメリカン・スクールで英米文学を教えながら執筆活動を進める。(そこの校長と再婚したそう) 「めぐりめぐる月」でニューベリー賞を受賞。他に「ゴーストのお気に入り」(Pleaing The Ghost,1996) 「赤い鳥を追って」(Chasing Redbird, 1997)等がある。
 

めぐりめぐる月
シャロン・クリーチ もき かずこ Sharon Creech

講談社 1996-06
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投稿者 asaka : February 4, 2005 3:59 PM

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