私たちが失った人にも名前があった
ーイラクの少女からの手紙

ロンドンのテロの後、“イラクの少女がイギリス国民に当てた手紙”というものを目にした。Living with Artのエントリーでは、あまり伝わらなかったかもしれないし、難しい問題だとは思うけれど、私はどうしてもテロリストを批判できない。だって、アメリカに加担して、日米がイラクで行っていることを考えると、あのような形の意思表示があって"当然"(良い悪いと言っていない)ではないか?それが"野蛮"なら、イラクで行われていることは何なのか?何万人もの人が、すでに亡くなっている。いや、もっときちんと口にしよう。何万人もの人が、すでに殺されているのだ。イラクの少女が、イギリス国民にこう問いている。

 私たちの国は誰の名で12年間も経済封鎖を受けたのですか? 私たちの住む都市は誰の名で国際的に禁止された兵器によって爆撃されたのですか? 皆さんの名のもとにでしたか?それとも、宗教の名前でしたか? それとも人類? 自由? 民主主義?
 皆さんは200万人以上の子どもへの殺人行為を何と形容しますか? 劣化ウランその他の有毒物質による土壌と水の汚染を何と表現しますか?
 アブグレイブ収容所とブッカその他の捕虜収容所など、イラクの拘束施設で起こったことを、皆さんは何と表現しますか? 男と女、子どもへの拷問を何と表現しますか? 拘束された者の体に爆弾をくくりつけ、彼らを粉々に吹き飛ばすことを何と表現しますか? 手足を引きぬいたり、目をえぐったり、皮膚にタバコの火を押しつけ、髪の毛にライターで火をつけたりというような、イラク人収容者に対する拷問手法を考案することを何と表現しますか? イラクを占領する皆さんの国の軍隊の行動を言いあらわすのは、「野蛮」という言葉で十分でしょうか?

目をそらさないで、全文を読んで欲しい。
テロでけがをし、家族を失い、悲嘆にくれる人々の映像。繰り返し再現される傷跡のシーン。確かに恐ろしいことではあるけれど、でも、この人たちは、1/10世紀に渡って、このような日々を送らされている。この少女が、こう続ける。

 私たちが失った人々のことを、皆さんはご存じなくとも、私たちはよく知っております。皆さんの記憶になくても、私たちは彼らをよく覚えております。皆さんが涙しなくても、私たちは彼らのために泣いています。(中略)
 …私たちが失った人々にも名前がありました。彼らは1人1人がそれぞれの顔を持ち、ものがたりを持ち、思い出を持っています。彼らが私たちといっしょに過ごし、笑い、遊んだ時間がありました。

痛々しくフィーチャーされる人々、テロの現場、遺族、被害者…。確かに悲惨なこと。だけれど、政治やメディアは、人の心のやわらかい部分につけ込んで、顔と名前の見える映像をすりこむことによって親密と同情と憎しみを生み出しているようだと思う私は、非国民(!)なのだろうか。(大衆操作のように見えて仕方ないのだけれど…)明るみにでないほどのおびただしい数の命、生、時間、名前が奪われている現状があることが、もっと知られることを願います。片一方の情報だけで考えないで。目の前に差し出されているものが全てだと思わないで。感情を揺るがし、冷静さを失わせる情報に惑わされないで。

ロンドンの爆破事件で、イラクの少女からイギリス国民への手紙
Letter to the British People on the London Bombings from a Daughter of Iraq


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