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October 20, 2005

"Music needs to be difficult. "- Keith Jarret

Music needs to be difficult. ー音楽は難解である必要があるのだー

10月14日 Keith Jarret日本ソロ公演初日 東京芸術劇場
目の前で拡がるKeith Jarretの音楽は、瞑想を思い出させた。

人は、気がつくと過去と未来を行き来している。「今」という瞬間を本当に意識することは至難の業だと体感したのは、2度目のヴィパッサナー瞑想のときだ。今しかないのに、人は、過去や未来をさまよっている。

心地良い感覚にひたると、過去や未来の心地よさにとんでいく。例えば、なじみのある音楽とふれると、親しみのある音につれられて過去の心地よい思い出や、未来への希望・夢・想像の世界にいく。でも、Keithの音楽は、心地よさにつれられるのではなく、おそろしいほどに求められる集中力に耐えられなかったときに、過去や未来に"落ちる"感じがする。

難解な音の連続、次に何が起きるのか予想がつかない即興音楽。知らない曲というレベルではなく、親しみがまったくない音たち。どんな音がくり出されるのかわからない。わからないというのは、わくわくすることだけれど、同時につらいことだ。向き合うためには、とてつもない集中力がもとめられる。
私は、Passive(受動的)なオーディエンスとして立体や平面、空間芸術と接することは滅多にない。音楽も全身で向き合うことを意識している。でも、開演後にその予測不可能な世界についていく集中力をすぐさま用意できずにそこに座っていたら、過去にストンと落ちてしまった。音が連れて行ってくれる過去ではなく、音と向きあうことから逃げて入り込む過去。目に見える(耳に聞こえる)形で生まれる現実と自分から発生する過去のはざまにはまる久しぶりの体験。それは、瞑想しているときに、はまる過去ととても似ていることにハッと気がつき、気がついたらちゃんと今へと意識を持ってくることができた。そしたら、会場は、すごいことになっていたのだ。「今」がその場にどんどんと創られている。耳から始まる感覚機能が全部、「今」「今」を意識している。息をするのも容易ではないくらいの密度の濃さがそこには存在していた。「今」がどんどんと生み出される。圧倒的な創造の場。

ひとつひとつの音を覚えていないけれど、音の余韻がすごい。息をつかずに聴いていると、聴衆のだれかがフライングの拍手をして空間を壊してしまった。Keithが頭をかかえ、客席に向かってこう言った。"What was that sound? Soft note, large sound?! " (今の音はなんだい?柔らかい(ピアノの)音に、大きな(観客席からの)音?!」 そして続ける。「どんどんと西欧化しないで。日本らしさを忘れないで」と。日本では、30年間で150回以上の公演を行っているKeithは、習慣をとても大切にする人だそうだ。自分の音楽を真摯に受け止めようとする日本の観客の姿勢や伝統的な部分が好きで、日本のコンサートは特別と公言している。でも、観客席から受けるエネルギーの変化を感じているのだろうか。Keithはこう続けた。"Music needs to be difficult. The world deserves it.(中略) I am doing all that I can. I can't do your work for you." ー 音楽は、難解であるべきなんだ。世界は、それを必要としている。… 私は出来る限りのことをしている。でも、あなた方が関わる部分(音楽を受け止めること)を代わりにしてあげることはできないんだ。

私は他の人のことはわからない、他の人のことを言えない。でも、音楽だけではなく、色々なものに対して、わかりやすさ、正しさ、きれいさ、やさしさ…確実なものを求めていないだろうかとふと思った。すごくスクエアだった頃と比較すると、今の私は、不確実で、ゆがんでいて、暗くて、不味くて、美しくなくて、暗いものに潜む光・力に魅了されている。それでも、秋の訪れとともにざわざわと揺れていた私は、難解への抵抗・逃避をしていたのかもしれない。Keithの意図とは違う受け方かもしれないけれど、おもしろい気づきだった。

追加公演が金曜日にある。初日と最終日はどう違うのだろう。不確実を楽しみに出来る私は、どう受け止めるだろう。楽しみだ。

B00008KJU5ザ・ケルン・コンサート
キース・ジャレット

The Melody At Night, With You マイ・ソング ソロ・コンサート スタンダーズ Vol.1 スタンダーズ Vol.2

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投稿者 asaka : October 20, 2005 6:16 PM

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コメント

はじめまして、川崎のrippleと申します。鍼灸師です。
「2度目のヴィパッサナー」、読ませていただきました。
最近は行っていませんが、わたしも何度か行っています。
体験記もありますので、時間があったら読んでください。
ケルンコンサートはいまでも時々聴いています。

投稿者 ripple : October 21, 2005 6:19 PM

■rippleさま

こんにちは。お返事が遅くなりごめんなさい。
コメントありがとうございます。
HP拝見しました。私がとても好きな本の翻訳されているのですね!

2度目のヴィパッサナーを自分で読み返したら
必要な気づきを得ていたのだと改めて感じました
今年は残念ながら秋に参加できなさそうですが、
関東にできるのが楽しみです
関東でグループ瞑想会てあるのかしら…

拙文ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします

投稿者 asakart : October 23, 2005 1:34 AM

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