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2003年11月14日

「無限の好奇心で有限の地球を冒険すると?」石川直樹×芹沢高志

以前の映画「イン・ディス・ワールド」についての記事のなかで書いた、ワードフライデイ「無限の好奇心で有限の地球を冒険すると?」石川直樹さんと芹沢高志さんの対談を聞いてきました。
「すべての装備は知識に置き換えられるべきた」冒険や旅に臨むにあたって、GPSや無線など様々なテクノロジーを利用できるようになったが、人間の持つ生存能力、自然を認識して、変化に対処する知恵、知識こそが、冒険では本質的に問われるべきだ。パタゴニア創設者の冒頭の言葉を、石川さんが対談で何度か引用していました。
冒険、旅に人を駆り立てるのは未知の世界へのイマジネーションですが、実はそのイマジネーションそのものが、旅路を示す航海術になっている。石川さんが、ここ数年ミクロネシアの海洋部族のもとで学んでいるスターナビゲーション(海図やコンパス・羅針盤などの近代計器を一切使わず、星や風・波のうねりや鳥やクジラをはじめとする海上の生物など、あらゆる自然現象をたよりに舟を目的地に導く高度な伝統航海術)の話です。
スターナビゲーションは、単純に星の位置から進路を決めるだけでなく、「星の歌」という口承で伝えられている海の地図の役割が大きいそうです。その歌というのは、海を碁盤の目のように区分けして、それぞれの海域を架空の生物のイメージとして捉える。そして例えば、「3匹のカマスのいる海から、ある星をみて、イルカの泳ぐ方向に向かう」というように、自分のいる海域から目指す海域までイメージをつないでいく。航路ごとに、時には1時間以上続く、そういった歌が沢山あるそうです。自分がどの海域にいるかは、風の匂い、星の位置、あるいは実際にイルカが多く泳いでいる、などの周囲の状況を知覚することでイメージとして認識できると。
「自分がそこに入らないと意味が解けない地図」ですね、と芹沢さんが表現されていましたが、そういった自然、環境と結びついた知識というものに対して、我々はどう取り組むべきなのか?という疑問は一つのテーマでした。
話は色々と飛躍して、「アポロ計画の際に撮影された、月の表面から地球が昇ってくる写真は、確実に人々が地球をどう捉えるか、というイメージを変えた。今、ボイジャーが太陽系から出ようとしているけれど、太陽系外に到達することで、また何か変わりそうな気がする」という芹沢さんに「真っ黒な宇宙にスーとつづいている、月の山の斜面の写真を見て、いつかは登ってみたいと思っている」と答える石川さん。基本的にはテクノロジーそのものは肯定的に捉えつつ、自然にたいする知覚、そしてそこで得られる知恵を、どのように現代と共生させられるか、という議論は自然体でいて刺激的でした。お二人の著書はまだあまり読んでいないので、これから読むのが楽しみになる、そんな対談会でした。

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Posted by jkanekomt at 2003年11月14日 23:39 | trackBack



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