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2004年01月12日

自律・分散・協調によるウェブ化。脱中央集権を超えた予測不可能な変化

自律・分散・協調を基本概念とするインターネット、World Wide Webが果たした社会変革と同じぐらいのインパクトのある変化が、今後エネルギー生産、消費に関してもおこりうることは間違いないように感じられます。
インターネット普及以前は情報(データ)の流れは、電波などを通じたマスメディアからの一方通行でした。ルーターと各種サーバーからなる新しいインフラによって、TCP/IPによるパケット交換、双方向ネットワークが実現されましたが、この同じスキームを、エネルギーウェブでも実現するべく、様々な技術開発がおこなわれてるそうです。データをパケット単位に区切り、制御情報を付加することで、分散ネットワーク上でルーティングをおこなうように、エネルギーを”パケット単位”で双方向に制御することができるようになるのでしょうか?「水素エコノミー」文中で紹介されている、FACTS(フレキシブル交流送電システム)は、これまでの電力インフラでは不可能だった「所定量の電力を電力系統の特定箇所に提供」することが可能になるそう。
インターネットがここまで生活のあらゆるところに普及してしまうと、もはや当たり前のように感じますが、TCP/IPはものすごくスケーラービリティーが高いシステムです。家庭内の数台のコンピューターをつなぐ小さなネットワークと、数百万人にストリーミング動画を配信する巨大なネットワークが、同じ技術インフラの上で動いているわけで、自律・分散・協調という基本概念が導入されることで、単純に既存の技術を置き換えるだけではなく、まったく新しいサービスがもたらされたと言えるでしょう。
インターネットも普及当初は、既存の情報の流通網に取って代わるような言い方がされていましたが、”置き換え”という言葉では不十分なほどの、まったく予測できなかったような社会インフラとして、現在でも発展し続けています。その意味では、エネルギーウェブによって、既存の中央集権的なエネルギー生産、流通が”置き換わる”というのは、かなり控えめな表現で、それにともなう予測不可能なイノベーションがもたらされることで、10年後の生活スタイルは大きく変わっているのかもしれません。

水素エコノミー(ジェレミー・レフキン著)
第八章 水素エコノミーの夜明け P269~274

アメリカの電力研究所は、WWWのときに起きたことと、分散型電源で今起きつつあることを比べて、いくつもの際立った類似点を指摘し、最近の報告書「未来への展望」の中で、分散型電源の今後を次のように分析している。

分散型電源はコンピューター産業の発展と同じ道をたどるだろう。大型の汎用コンピューターは、地理的に分散した小型のデスクトップやノートパソコンを接続して統合した非常に柔軟性の高いネットワークに道を譲った。電力産業においては、集中型発電所が引きつづき重要な役割を担うのは言うまでも無い。しかし、小型で、クリーンで、広域に分散した発電設備の需要はますます高まるだろう・・・そのすべてを支えるのがエネルギー貯蔵技術で、貯蔵システムに不可欠なのは、高度な電子制御機器だ。それがなければ、複雑な相互接続がもたらす膨大な情報と電力の流れはぜったいに処理できない。

(中略)
コロラド州デンバーにあるふたつの企業、エンコープ社とセレリティ社は、商業施設と工業施設、計五か所に設置された大型の分散型電源をつなぎ、まだ前例の少ないエネルギーのマイクロウェブを構築している。ウェブ全体で5メガワットの電力が生産できる。同様のエネルギーのマイクロウェブを、セレリティ社と、ニューメキシコ州アルバカーキにあるシックス・ディメンション社が共同で構築中で、こちらは十二の発電装置を結び、25メガワットを発電できる。将来は、「バーチャル発電所」が何千もの燃料電池をつなぎ、現在の1000メガワット級の集中発電所に匹敵する電力を生産できるようになるかもしれない。
(中略)
今日の送電システムは、特定量の電力を電力系統の特定箇所に振り向けられる構造になっていない。そのため、電力はあらゆる所に流れ、しばしば混雑や送電ロスを起こす。電力研究所が開発したFACTS(フレキシブル交流送電システム)とよばれる新技術を用いれば、送電会社は「所定量の電力を電力系統の特定箇所に提供」できるようになる。スティーブ・シルバーマンは”ワイヤード”誌上で、WWWを巧みに引き合いに出してこう述べている。「FACTS機器はエネルギーウェブにとってのルーターだと思えばよい」。
最先端技術を駆使したコンピューター・ハードウェアとソフトウェアを統合すれば、集中管理された電力系統を完全に双方向のインテリジェント・エネルギー・ネットワークに変えられる。センサーやインテリジェント・エージェント(仮想代理人ソフト)がシステムの各所に埋め込まれており、電力の状態に関する最新情報を提供してくれるため、電力が必要な場所で必要なときに流れ、しかも価格は最低限ですむ。たとえば、セージスステムズ社が作成したソフトウェアプログラムは、ピーク時に電力系統が処理能力の限界に達すると、電力会社が「ただちに負荷を減らす」のを可能にする機能を持つ。それも、「数千人の顧客のサーモスタットを二度下げるといった、命令をたったひとつインターネット経由[で送るだけ]」でいい。「アラジン」という別の製品を使うとユーザーは家電製品や証明、空調に使われている電力を監視・変更することができ、しかもすべての操作はウェブ・ブラウザから行える。

■書籍「水素エコノミー」に関する記事
- 水素エコノミー(ジェレミー・レフキン著)を読んで
-
熱力学から考える、人間と経済のエネルギー消費
- 食卓の食べ物は、石油の匂い。近代農業のエネルギー効率と都市
- 水素エコノミーは「脱炭素化」という技術発展の最終目標
- 自然エネルギーの貯蔵、流通インフラとしての水素
- 2005年には、家庭が燃料電池でエネルギーウェブにつながる
- 次世代エネルギー車の、柔軟で環境適応するエネルギー制御システム
- 自律・分散・協調によるウェブ化。脱中央集権を超えた予測不可能な変化
- 自動車と住居は、WEBサービスでエネルギーを相互流通させる

Posted by jkanekomt at 2004年01月12日 16:21 | trackBack



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