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2004年02月14日

シムシティから考える地域エネルギー計画とマイクログリッド

一度始めると、泥沼のように時間を費やしてしまう恐怖のハマリゲーム、シムシティ。最後にプレイしたのはシムシティー2000でしたが、その後シムシティ3000、シムシティ4とバージョンアップながら進化を重ねているようです。そんなシムシティを通じて都市シュミレーションを研究するというかなり面白いサイトがありました。
ゲームの枠を超えて本格的なのですが、その中でもエネルギー関連についての研究は興味深いです。シムシティのエネルギー計画から拡大して、都市、地域社会での分散型のエネルギーインフラについてまとめてみたいと思います。

シムシティー研究報告Sim Labo

都市を支えるエネルギーは電力である。
現代社会では電気抜きには語れない世の中になった。こうやってインターネットが出来るのも電力があるからである。現代生活に欠かせないものとなった電気は、SimCityでも欠かすことはできない存在であり、シリーズを通して「電気」の要素が(ほぼ変わらず)存在する。
SimCityでは電気は都市を支えるエネルギーというのが根本のゲームシステムのため、電気がないと都市が発展しないというのを再現されている。電気の供給がなければ建物は廃墟になり、発電所の能力が落ちれば停電が頻発し、住民から怒りの声が集中したりする。
- SimCityと電気
- アメリカの電力事情
- 火力発電所
- 原子力発電所
- アメリカの原発事情
- 風力発電所
- ソーラー発電所

SimCity自体に存在しない一日の時間変化が挙げられるだろう(Sim4のは見た目だけの変化)。実際の電力というのは、一日中同じ電力が発電されているわけではないことは皆さんご存じのことかと思う。発電施設は「ピーク時間帯(右図の中央付近)」に合わせて作られるため、時間変化がないと言うことは、「最大電力」という概念がないと言うことになります(SimCity内での最大電力は発電所の最大出力)。
ピーク時間帯の概念がないということは施設の配置に影響を及ぼしそうに見えますが、逆に言うとSimCityの電気は、ピーク時間帯で考えられているのかも知れません。
ただこれでは、ピーク時間帯別の電力コントロール(夜間の安い電力を使うエコアイス事業など)への対応が出来ないということの証にもなります。まぁ、それが都市の仕事ではないかも知れませんが、これから環境負荷の高い発電所の設置が厳しくなってくるので、こういう点が現実にも食い込んでくる(=都市発展に影響を及ぼす)ことが予測されます。
そういう点ではSimCityの限界がかいま見えていますが、そこまで考えた都市経営が考えられているかというとちょっとどうだろう・・・という感じなので、一概にそう言ってはいけないのかも知れません。今までそうであった、という証明にはなるかも知れませんが。(アメリカの電力事情より)

以上のようなSimLaboさんで指摘されている「都市計画と電力コントロール」の重要性は、まさに水素エネルギーウェブ、分散電源を考えていく上で非常に重要な要素になりそうです。
書籍「燃料電池ビジネスの本命”住宅市場”を狙え!」によれば、一日に電力消費の時間変化は、一般の家庭では朝起きてから外出するまでの二時間程度、夜は帰宅してから就寝するまでの5時間程度が電力需要のピークで、日中や深夜の需要とは10倍以上の違いがあるとのことです。
既存の電力インフラは、日本中でのピーク電力利用を想定した「最大電力」を供給するための設備を持つ必要があるのですが、逆に分散電源では、一日の時間帯における電力消費の偏りがある地域(家庭やオフィス)をうまく組み合わせて、効率的に分散電源網を整備することが重要となります。
資源エネルギー庁では、分散電源が既存の電力系統に接続されることを想定して、「系統連結技術要件ガイドライン」を作成しています。平成10年の改定では、家庭用コージェネレーションに関する規定も盛り込まれました。ガイドラインは、電力系統の電機の品質を維持すること(電圧や周波数が一定に保たれること)を主な目的としています。分散型電源の電圧や周波数の変動や、事故を感知して、系統から切り離すための系統保護装置に求められる仕様も規定されています。
ただしこのような系統保護装置は、系統の保護のために分散型電源に組み込まれるため、分散型電源側にとってはコストアップとなり、分散型システム全体としてのメリットの向上にはつながりません。既存の系統に接続することはエネルギーウェブの最終的な目標ではないので、分散システムならではの新しい電力供給システムへの取り組みが必要とされています。

燃料電池ビジネスの本命”住宅市場”を狙え!」では、分散システムならではの電力供給システムへの取り組みとして日本では以下の二つのプロジェクトが紹介されています。

需要地系統

財団法人 電力中央研究所が提案。複数の変電所と、分散型電源、需要家をループ状に接続する。ループには、昼間の電力需要が少ない一般家庭と、昼間に電力需要がピークとなるオフィスビルなどを組み入れることで電力負荷の平準化をはかる。ループの規模は変電所三つぐらいが最適。また需要家には「需給インターフェース」によって、電気の料金情報を取得したり、分散型電源を制御することができる。ループ内の電力の品質は「ループコントローラー」によって制御される。2004年度からの実証試験の開始と2010年までのシステム確立を目指す。


FRIENDS

Flexible Reliable and Inteligent Electrical energy Delivery Systemの略。北海道大学の長谷川淳 教授を中心とした、大学、企業によるFRIENDS研究会(構成メンバー)によって提唱されている「高柔軟・高信頼電気エネルギー流通システム」。「電力改質センター」と呼ばれる電力供給機器を、変電所と需要家(住宅であれば数十~数百軒に一台)の間に設置する。電力改質センターに分散型電源を設置することで、停電の確立を減らしながら、高品質の電力を提供する。また、電力改質センターにインターネットなどで接続することで、異なる品質と価格の電力(病院の場合は、より停電確立の低い高品質な電力など)を選択して購入することができる。

ただし、いずれのプロジェクトも、系統との連結を前提としており、本来の意味での分散システムという意味では、アメリカで進められているマイクログリッドや、パワーパーク構想の方が、より分散化の進んだ取り組みとのことです。

マイクログリッド

「マイクログリッド」は1999年に米国エネルギー省傘下のローレンスバーグ国立研究所が中心となって設立され、大学、電力会社、メーカー、公的研究機関等が参加するコンソーシアム、CERTS(Consorium for Electric Reliability Technology Solutions)によって研究が行われている。CERTSではマイクログリッドを設計するためのガイドラインの作成を最終目標にしている。
「マイクログリッド」とは、特定地域内での電力の供給を行うための小規模な配電網のことをいい、CERTSでは次のように定義している。

・ 複数の小さな分散型電源と電力貯蔵装備、電力負荷がネットワークオを形成する一つの集合体である

・ 集合体は系統からの独立運用も可能であるが、系統や他の「マイクログリッド」と適切に連携することもできる。

・ 需要家のニーズに基づき、需要家に設計・設置・制御される

(中略)
「マイクログリッド」は需要家のニーズや、規制、経済面、技術面の条件、地域の特性などに基づいて柔軟に設計されるべきものである、とされている。そうしたコンセプトもあり、「マイクログリッド」を構成する分散電源としては、燃料電池やマイクロガスタービンだけでなく、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギーも想定されている。例えば、農村部では豊富に存在するバイオマスを利用したマイクロガスタービンによる発電、風が強い沿岸部などでは風力発電、設置スペースの制約が大きい都市部では太陽光発電や燃料電池を活かすといった具合だ。画一的なモデルを作るのではなく、それぞれの地域で最も環境負荷が小さく、かつ最も低コストとなるような最適解を適用すべき、という考えだ。
(「燃料電池ビジネスの本命”住宅市場”を狙え!」より)

マイクログリッドでの電力供給に加えて、二次的に発生する熱の供給・利用も同時におこなう仕組みはパワーパークと呼ばれるそうです。書籍では、レアルエナジー社が中心となって、カルフォルニア州郊外のプレザントンに建設している工業団地をパワーパークの例として紹介されていますが、以下の記事も参考になります。

Corporate Power Parks: Reliable Energy for Enterprises

この記事で強調されているのは、単に自然エネルギーを活用したエコロジーな都市地域づくりというだけではなく、安定した電力供給ができるということがビジネス的な可能性につながるという点です。
2003年8月14日のニューヨークなど北米東部一帯の大停電の例にもみられるように、大規模な都市停電は重大な経済的損失をもたらします。工場などの生産設備が停止するだけでなく、IT産業でデータセンターが万が一停止した場合には、世界規模でのビジネス停止に結びついてしまいます。データセンターなど個別の設備でバックアップ電源を保持するだけでなく、地域として自立したエネルギー供給されることは、ビジネス環境として大きなアドバンテージとなるわけです。
日本の東京一極集中に比べると、米国の産業はUnited Statesというだけあって、各州に比較的広く分散しているといえます。マイクログリッドやパワーパークなどの試みは、各州の都市が産業を誘致する上での差別化となるのでしょう。日本でも青森県などが構造改革特区として、分散電源の規制緩和を申請しているようです。地方分権とあわせて考えると、中央集権的な電力系統への接続を前提にするのでなく、米国のように地域で独立したエネルギーインフラとしてのマイクログリッドを想定してもいいのではないでしょうか。湘南地方の海沿いに、風力発電や太陽発電と組み合わせたマイクログリッド住宅街を整備するのも、箱庭シムシティー的で楽しそうです。


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Posted by jkanekomt at 2004年02月14日 01:36 | trackBack



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