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2004年05月29日

Amazonアフィリエイトは、最先端のサプライチェーンを一般プログラマに開放する画期的な流通システムか?

G-Toolsを作って、色々な人に使ってもらっているのを眺めると、ブログとAmazonアフィリエイトの組み合わせで、すごく簡単なオンラインショップが出来てしまうのだな~と実感しています。
少し前の記事ですが、CNET梅田さんの記事「バブル期の予測通りに成長していた米EC市場」でも紹介されているエコノミストの特集を読みながら、eコマースとしてのアマゾンのアフィリエイトと、その背後にある競争力の源泉ともいえる高度な商品管理・物流システム、楽天のビジネスモデルとの違いなどをちょっとまとめてみます。

アマゾンは、XML WEBサービス経由で、顧客の個人情報を除く、ほとんど全てのデータを公開してくれています。「この商品を買った人は、他のこんな商品を買っています」という関連商品情報は、顧客の購買データからプライバシー部分を削除して、一部提供してくれているようなものですね。その徹底ぶりからは「商品が売れさえすればいい」という明確な割り切りも見えてきます。
そこで企業としてのアマゾンは、どういった業務をコアと考えているのか?という点に興味がわきます。

ユーザーの立場としては、WEBサイトという形でしか見えないので、その背後にあるビジネスプロセスは想像するにとどまりますが、何気なしにAmazonの求人情報を見てみると、さすがは合理的なアメリカ企業のAmazon、すばらしく具体的な募集案内が書いてあって、中心となる業務がよく理解できます。

業務プロセスの概要としては、次のような一連の流れを繰り返す形になると思いますが、
1. 需要予測
2. 商品の仕入れ
3. ストア(WEBサイト)の企画、運営
4. 商品のカタログ・データベース化
5. プロモーション、販売促進
6. 物流管理
7. カスタマーサポート

個々のプロセスで、どのような能力の人材を必要とするか=業務の具体的な内容が、スタッフ募集に詳しく書いてあります。Amazon.co.jpのシステムは、USが開発したものをローカライズして使っている雰囲気なので、業務の中心は、そのシステムを利用したオペレーションが主になるよう。
IT系の仕事は、カタログ・データベースの管理と、アマゾンのサイト上でどのような見せ方をするのか?というサイト・マネージング的な仕事になるようです。しかし募集人員の全体的なバランスから見ると、いわゆるIT系ではない、商品仕入れや、物流管理のウェイトが大きいようにも見えます。

WEBサイトとしてのページビューではなく、あくまでも売り上げ重視。商品が売れることで利益が上がるのならば、実際に商品を扱うプロセスの、業務効率を向上させることが第一なのは当然なのかもしれません。

Economistのeコマース特集でも、「最も安い価格がすぐに知られてしまうネットでも、アマゾンが売り上げを伸ばせた理由」としてJeff Bezos氏は、単純に安い価格で商品を売ることが重要だと答えています。アマゾンに価格競争力があれば、他の家電量販店などと提携をして、取り扱い商品数を増やしながら、別の付加価値の部分で勝負ができると。例えば、ある金額以上を買うと送料無料になるならば、個々の商品を一番安い別々のサイトで買うのではなく、品揃えの多いアマゾンでまとめて買う、という強みを出すことができるとのこと。

Santa's helpers(Economist.com)

Sell it cheap

How does Seattle-based Amazon, the leading online retailer, cope with such price transparency? The first part of the answer is simple, says Mr Bezos: “The approach we take is actually to have low prices.” The second is to accept that there is transparency. So if one of the big retailers who now also sell through Amazon, such as Circuit City or J&R, manages to clinch a better deal with one of their suppliers and offer a lower price, Amazon has to reduce its own price, lose sales or keep its fingers crossed that it will win the order for reasons other than price.

さらには、サプライチェーン・マネジメントなどの管理コストを引き下げて、かつサービス・クオリティーを向上させるために、”世界のトヨタ方式”を導入しているようです。この辺りを考えると、実はアマゾンが日本で採用したい人材は、IT系のエンジニアというよりは、世界的な競争力を持っている自動車メーカーなどで、調達・生産・物流・品質管理のノウハウを習得した人員なのかもしれません。

Another thing that helps profits is rigorous cost-cutting. To do this, Amazon employs the Toyota principle—reducing defects and problems in its order process as early as possible. One of Amazon's main quality measurements is contacts per unit ordered. Every time an employee has to intervene in the automatic process, perhaps to redirect something delivered to the wrong address, costs go up. By keeping this measurement as low as possible, Amazon not only reduces its costs but also boosts its customer-satisfaction ratings.

そしてこの辺りの事情は、日本の小売に外資が進出して来て、流通業界に変化がおきていることとも関連しているような気がします。アマゾンが店舗(WEBサイト)と商品管理システムを明確に区別して、効率を追求するのは、アメリカ市場での大手流通業界との競争によって、必然的に導き出された戦略ではないかと思います。

そしてサプライチェーンの目的は”第一に安く売ること”である、という割り切りが、既存の国内の流通業界にとっては、異質なものと映っているのではないでしょうか。
流通に関しては、まったくの素人なので、実情を理解していないのかもしれませんが、”付加価値をつける”ということと、”効率改善によってコストを下げる”ということは両立できないことではなくて、むしろ付加価値レイヤーとオペレーション・レイヤーが明確、かつ戦略的に区別されていない場合は、しばしば”付加価値”という言葉が、高コスト構造の正当化に使われるケースもあるような気もします。(以下の記事の菱食がそうだというのではなく、あくまでも一般的にという話ですが)

西友が取引切った“強い卸”、ウォルマート主導コスト削減策(nikkeibp)

なぜ西友は、菱食との取引を打ち切ったのか。業界関係者は「多額の投資をし精度の向上に力を注ぐ菱食は、ウォルマートのコストダウンの要求とは相通じないものがあった」と見る。菱食は多種多様な商品を店頭で売り逃しがないよう高い精度で供給する。そんな高精度を誇る菱食でも、コストを重視した西友は、取引をやめる必要があった。

「西友はウォルマートに販管費の低下を数字で示さなくてはならない責任があるのだろう。だから(打ち切りは)、お客様のことよりも株主のことを考えてやったのではないか。仏カルフールも日本進出当初は大量に安く販売する店舗だったが、日本流の品揃え型のスーパーに変えてきている。ウォルマートも大量陳列、大量販売の店舗を見直す時が来るかもしれない。その時はまた、おつき合いがあるかもしれない」。 菱食の幹部は意味深長にこう語った。

しかし、こうやって見ると、同じeコマースとして比べられる楽天とAmazon.co.jpって随分違うタイプの会社のような気もします。楽天はポータル化を進めて、集客力が向上することによって加盟販売店も増える、というネット部分がスパイラル的に増大するモデル?。
一方のアマゾンは、XML WEBサービスで情報を公開することによって、WEBサイトとしてのネット部分は外部のリソースを積極的に活用する方向性。極端にいえば、商品が売れるのであれば、Amazon.co.jpというサイト自体は無くてもいいぐらい?。あるいはオンラインショップとしてのAmazon.co.jpではなく、Amazonアフィリエイトで商品の感想を書いているブログやWEBサイトをサーチするための”検索エンジン”的な機能を強めていく方向性もありなのかも。

個人がアフィリエイトする場合にも、楽天は加盟店舗にユーザーを誘導する”広告”的な意味合いが強いのに対して、AmazonのXML WEBサービスをフル活用した場合は、アフィリエイトサイトが、Amazonの商品管理・物流インフラに直結するようなイメージがあります。WEBサービスから取得した、売り上げランキングや在庫情報によって、サイトに表示する情報を変化させる、って結構高度なPOSシステム機能のような気もします。
どちらがいい、という訳ではなくて、ビジネス的なアプローチの違いだと思いますが、XML WEBサービスなどを使って遊ぶという意味では、アマゾンの方がやりやすいのかも。ブログの普及と相まって、趣味的なプログラマーへの浸透しやすさという意味で、これからどのような違いがでてくるのか、興味深いところです。

Amazon.co.jp: スタッフ募集  

職種名: Operation Manager
部署名: Distribution Center
 
Distribution Center内におけるサンプルセンターの立ち上げ、プロセス作り、定性管理。Vendor compliance, Product complianceの日本におけるポリシー作りと定性管理。返品プロセスの構築と関係部署との連携、実施の徹底、それに伴う在庫管理を行う。


職種名: Buyer, Consumer Electronics (バイヤー:仕入れ担当者)
部署名: Hardlines
 
光学機器関連商品(主にカメラ、デジタルカメラ)のマーチャンダイジングおよびWebを活用した販売。ディストリビューター・メーカーとの強力なパートナーシップの確立。商品を販売するうえでの各種情報(製品、価格、広告等)の円滑な入手。販売データ、市場動向情報の分析および、それらに基づいた効果的な販売戦略の立案、実施。最適な調達先の選定、開発。


職種名: Replenishment Analyst
部署名: Supply Chain
 
需要予測、発注、および在庫管理業務。マーケットニーズやトレンド予測を基にストアと連携した需要予測。データマイニング。販売予測・分析レポート。販売関連へのアドバイス。在庫回転率の向上とFill rateの向上の両立。ベンダーの供給力、クォリティーの改善。

職種名: IT Specialist (Catalog担当)
部署名: Website Development
 
和書・洋書のカタログ情報(商品情報)のデータベースの管理・メンテナンス業務。Amazonのサイトに存在する、膨大な量の本のカタログ情報(商品情報)すべてを管理する非常に重要な業務。お客様に正確な情報を提供し、高いレベルで満足していただくことを目指して、既存のデータの分析をはじめ、システムの調査、問題解決、改善のための提案などを行う。


職種名: Product Manager
部署名: Media Products
 
ストアの販売戦略立案、企画および実行。売上に対し責任を持ち、Merchandiser、Editor、Marketing、Website Development、Supply Chain等と密接に連携しストアの売上と利益を最大化する。お客様の購買率(受注数 / ビジター数)を最大化するようEditorと連携する。競合他社の価格、プロダクト戦略を分析し、日本の市場におけるAmazon.co.jp の優位性を高める。ストアの販促企画、さまざまなサイト上でのキャンペーンを企画し実行する。


職種名: Editor
部署名: Media Products
 
ビジネスのさらなる拡大にともない、Webコンテンツエディターを募集。購買意欲をそそる商品ごとの詳細ページが販売促進の鍵となることを理解し、ショップの顔であるサイト上で知識や探求心、ビジネスセンスを最大限に生かし、販売力のあるページ作りができる方。


職種名: Resolution Specialist
部署名: Customer Service
 
お客様のクレームやカスタマーサービスからのエスカレーション、および公共機関からの問い合わせに対して迅速に処理を行うとともに、必要に応じて本社法務部や他部署と連絡をとり、お客様に対してのサービス向上に努める。カスタマーサービス全体のエスカレーションのプロセスの見直し、周知徹底をはかり、効率と品質を高める。今後のロイヤルカスタマープログラムについての対応も行う。

Posted by jkanekomt at 2004年05月29日 03:24 | trackBack



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