2005年には、家庭が燃料電池でエネルギーウェブにつながる

エネルギーウェブの根底にある思想として、中央集権化することでスケールメリットが得られると考えられてきた領域をいまいちど見直そう、という面が大きいと思います。技術革新によって、部分最適化による分散型システムのほうが、全体の系として効率的になりうる、というアイデアをエネルギーにもあてはめた考えとして「分散型電源(Distributed Generation)」というキーワードが提示されています。具体的には、燃料電池ユニットとコージェネレーションの組み合わせを、実際に電気を使う住宅や施設などに設置することで、総合エネルギー効率を向上させようという取り組みにつながります。
一般に化石燃料などの一次エネルギーを利用した、大規模な発電所から送電網を通じて家庭で電気を利用する際には、利用していない排熱60%、送電ロス5%が引かれて、総合エネルギー効率は35%程度になるといわれています。都市ガスを利用した燃料電池とコージェネレーションシステムの組み合わせでは、送電ロスは無く、利用困難な排熱が20~30%存在するとしても、総合的なエネルギー効率は70%~80%に達し、同じ一次エネルギーを燃料にしていても、格段に効率がアップします。

一般に「分散型電源(Distributed Generation)」とは、システムの一部として、あるいは独立して、最終需要地(工場、民間企業、公共施設、住宅区域、個人の住宅など)またはその近くに設置される小型の発電設備を指す。
現在、最も人気のある小型発電技術は、ディーゼル燃料か天然ガスで動くレシプロエンジンだ。化石燃料を原料とするガスタービンやマイクロタービンも、小型発電市場でシェアを拡大しつつある。しかし、ゆくゆくは水素燃料電池が主流となり、分散型電源市場を席巻するとの見方が、この分野の専門家のあいだでますます強まっている。燃料電池はユニット販売されるため、ユーザーは自分の発電需要にあわせてシステムを組むことができる。将来もっと電力が必要になれば、新たに燃料電池ユニットを買い足せばよく、追加コストもわずかしかかからない。
(中略)
分散型電源を、業界で言う「ピークカット」に利用する消費者が増えている。電力の価格は、需要や発電設備の稼動状況によって刻々と変化する。この変動をもとに、オフピーク料金、オンピーク料金、ショルダー料金といった、季節や時間帯で分けた料金区分が設定されている。需要の大きいピーク時、電力会社は旧式で効率の劣る設備もやむなく稼動させることが多い。その追加コストは、電力料金の割り増しとなって消費者に転嫁される。分散型電源システムがあれば、消費者はピーク時に商用電力系統から自家用発電に切り替えて料金を軽減できる。
将来は、インターネットや、電気自体に埋め込まれたデジタル信号を通じて、燃料電池が価格をモニターできるようになる、とジャーナリストのピーター・フェアリーは”テクノロジーレビュー”誌に記している。たとえば、リアルタイムで入ってくる天然ガスと電気の価格情報を燃料電池が分析し、分散型電源に切り替えたほうが安くつくなら、マイクロ発電ユニットのスイッチが自動的に入る、という具合だ。民間企業と住宅所有者のほとんどは複雑なエネルギー・ビジネスに通じていないので、ウィリアムズ・インターナショナル社のような新しいタイプの仲介業者が、総合的なサービスプロバイダーの役割を果たすようになる。ウィリアムズ・インターナショナルはオクラホマ州タルサに本拠を置くエネルギー企業で、すでに全米の天然ガス供給の二割をパイプラインで移送している。同社は、「すべてがそろったエネルギー・サービスをパッケージで提供している。それには、マイクロ発電ユニット購入のための融資や、電力系統を介した電力供給、ピークカットへの切り替えどきを判断するための消費者への手助けが含まれる」