次世代エネルギー車の、柔軟で環境適応するエネルギー制御システム

デトロイト・モーターショーでは日本車メーカーの勢いが目立ったようです。もはやハイブリットカーの代名詞ともいえるプリウスのトヨタは、SUV・クルーガーや高級車レクサスでもハイブリットバージョンを投入すると発表したのを初め、次世代エネルギー車に関する日本メーカーの発表が相次ぎました。

ホンダはインサイト、シビックハイブリットについで、アコードをベースにしたハイブリット車を2004年秋に発売し、2005年には燃料電池自動車を発売すると発表しています。これまでは、燃料電池関連の特許を数多く保有しているカナダBallard Power Systems Inc.の燃料電池スタックを利用していましたが、独自の燃料電池スタックを東京モーターショーで発表しています。
トヨタも独自の燃料電池スタックを開発しています。トヨタのホームページではハイブリットカーの動作原理、システムが詳しく解説されているのですが、その中でも興味を引くのは、エンジン、発電機、モーターの組み合わせからなるエネルギー駆動部分と、アクセル、ブレーキ、バッテリー、エアコンなどを、どのようにシステム全体として制御しているかの解説です。

トヨタハイブリッドシステム THSII
- システム制御解説 1

THSII搭載車は最新のジェット機のように、ドライバーの要求を電気信号(ワイヤー)に換えて総合制御するバイワイヤー制御となっています。バイワイヤー制御では、そのシステム信頼性確保が最優先の制御になります。スマートキーからドライバーがクルマに乗り込む情報が得られると、システムの電源が入ります。

このような複雑で統合的なシステム制御が、最終的には燃費(ガソリン1リットル辺りの燃費という概念から、包括的なエネルギー効率を考えた、総合効率(Well to Wheel)への移行をトヨタは提唱しています)、あるいは”乗ごこち”という分かりやすい指標に直結するわけで、こういったシステム制御技術がこれからの自動車では大きな競争力に結びついてくるのでしょう。
この技術領域では、元々は電気系に強い企業の存在感も強まっているようで、「自動車メーカーのニーズに合わせ、最適な電気系駆動システムを構築し、ソリューションを提供していく」ことを目標にしている日立製作所は、富士重工業のハイブリットシステムの開発に参加しているそうです。
さらに、トヨタのページ21世紀・エコカー開発の方向性では

「適時適地適車」と経済性
エコカーは、技術開発の進度により、その時々で優位性に変化があります。また、世界中の国や地域ごとに、エネルギー事情やインフラ、クルマの用途に違いがありますから、求められるエコカーもさまざまです。経済性という観点も見逃せません。エコカーの普及には、時間差や地域差に合わせた「適時適地適車」の思想で、クルマづくりを実行することが重要です。トヨタは、さまざまな要因を見極め、地域ごとに最適なエコカーをつくり、環境保全に貢献したいと考えています。

とも書かれていて、もはや自動車はつくったら終わりの単純な工業製品ではなく、周囲の環境とその変化に応じて適応することが求められる、きわめて柔軟なフレームワークと、高い情報処理能力を備えたシステムであることが分かります。
以前の記事「2005年には、家庭が燃料電池でエネルギーウェブにつながる」で、自動車用の燃料電池の量産効果が、家庭用にも波及することが製造コストを考えるうえでは重要ということを知りましたが、住居の燃費(総合効率)を追求するためには、おそらく自動車以上のシステム最適化が必要とされるのは間違いなさそうです。
それこそ、地域による気候変化、あるいは建物自体の間取り、設計、住む人の生活パターンも千差万別なわけで、これまでの”コンセントから取れる電気”という単一で効率の悪いシステムを、どう改善するか。どのような研究がされているのか興味がわくところです。


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