モバイル機器での燃料電池の利用

家庭用、自動車と並んで、期待されている燃料電池の用途としてモバイル機器への応用がある。モバイル機器への応用によって、いままでのリチウムイオン充電池に比べて、より長い稼働時間を実現することができる。また、コンビニで燃料カートリッジを購入するだけで、充電器につないで充電をする必要もなくなるかもしれない。

携帯機器の消費電力は液晶画面の大容量化、プロセッサの高速化、無線通信の高速化など益々増加する傾向にあるのに対して、現状のリチウム電池の容量がそれほど増えていないのが今後問題になりそうだという。マイクロプロセッサの消費電力は、10年で100倍になっているのに(i486DX4-100Mhzが3.14W → Pentium3-1Ghzで36W)、リチウムイオン二次電池の容量はせいぜい年率10%、10年で3倍弱にしかなっていない。
燃料電池ビジネスの本命”住宅市場”を狙え!」から燃料電池をモバイル機器で活用することのメリットを要約。

(P-132~) 燃料電池は、二次電池の中でも最もエネルギー密度の大きい最新のリチウムイオン電池と比べても約10倍の能力がある。より小さく、軽く、長時間の稼働時間を実現できる。1ヶ月連続使用できる携帯電話や、連続24時間稼動するノートパソコンなども夢の話ではない。

コンセントにつないで充電の時間を待つことなく、メタノールの充填されたカートリッジを交換するだけですぐにつかるようになる。例えば、外出先のコンビニでリサイクル式のカートリッジを購入するなど。メタノールは液体なので、ガス化しやすい水素よりも安全が確保しやすく、残量も目で確認できる。エタノールや、ライターのガスに使われているブタンにも可能性がある。
メタノールから燃料電池で電力を取り出すには、メタノールから直接化学反応で電気を取り出すダイレクトメタノール方式と、メタノールから一度水素を取り出して発電するメタノール改質方式がある。

日常的に持ち歩くモバイル機器のライフサイクルは2~3年程度と、自動車や家庭用電源に比べて、耐久性はそれほど求められない。燃料電池部分が故障しても、取替えが簡単であれば問題も少ない。また、モバイル機器で必要される電力は数ワット~数十ワットと小さい。
既存の技術とコスト面から比較すると、自動車では50~100キロワット相当のガソリンエンジンが10万円~20万円なので1万円/1キロワット、家庭用では30万円/1キロワット程度が目処になるが、モバイル機器はさらにコスト的なハードルは低く、かつ長時間利用など、ユーザーに対してもメリットをアピールしやすい。現状の携帯機器のリチウムイオン電池の世界市場は4000億円ともいわれている。

また書籍では、家庭内で利用する機器に関しても、エアコン、照明、冷蔵庫、洗濯機などの常にコンセントにつながっている”ライン型”の電化製品とくらべて、コンセントを使わないほうが便利な”非ライン型”の電化製品もあるとしている。
例えば掃除機などの電気コードが無くなれば、取り回しがしやすくなるニーズがあるだろうし、燃料電池のカートリッジもゴミパックの交換と同じような感覚でできるかもしれない。他にもポータブルテレビやラジカセなども、気軽にアウトドアに持っていけるようになる。こういった”非ライン型”として使える、便利になる家電製品は結構あるのかもしれない。

- 小型で低コスト、エタノールを使った新たな水素生成装置(HotWired)
- 高分子膜は燃料電池業界を活性化させるか?初の商用製品がリリースに。PolyFuel社(CNet)
- 燃料電池、「まずはノートPCに」の“なぜ?”(IT Media)
- 日立、燃料電池用のメタノール補給カートリッジを試作、実用化に向け東海と協力(CNET)
- 富士通、30%高濃度メタノール燃料を使った小型燃料電池(IT Media)
- 燃料電池●「PCだけじゃない」,富士通のダイレクト・メタノール型燃料電池(NE Online)