葉山とジャコメッティと「見るということ」

土曜日に、サンフランシスコから来ていた同僚を鎌倉に案内。梅雨の晴れ間の紫陽花見物に、すごい人出だったので早めに鎌倉を切り上げて5人で葉山の近代美術館に。ここは、松と浜辺に囲まれた素晴らしい環境なのに、いつも人がすくなくて快適に作品を見ることができますね。展示スペースが4フロアぐらいと小さめなのも、ふらりと寄るには、疲れすぎずにちょうど良い。アルベルト・ジャコメッティ展を開催中でした。

実際のところ、シュルレアリズムの彫刻を見つつ、やけに心地よくドライに乾いた芝生の上で寝転がったり、道端で買ってきたシャボン玉を吹き始める人がいたりの、妙にテンションがあがっていたのは、葉山の自然の懐の深さということにしておこう。

そんな週末を過ごしつつ、週明けの電車で先週から読んでいた本を開いたら、偶然にもジャコメッティについてのエッセーが載っていた。この本は、久しぶりに面白かったので、またの機会に感想をまとめてみる予定。

見るということ

彫刻作品の一つを思い浮かべてみよう。細く、これ以上単純化し得ない、静止しているが硬直してはいない、簡単にはわすれられない、目で確かめ、凝視することだけが可能な彫刻。あなたが見る時その像は見返してくる。彼の最も凡庸な肖像作品にもこのことは当てはまる。ここでの違いは、あなたの眼差しと彼女のそれの道筋を --- あなたたちの間にある、見ることという狭い廊下---あなたがいかに意識しているかということである。こうしたことが視覚化され得るとしたら、祈祷の道筋に似ているだろう。どちら側にも何もない廊下。動かずに見つめるための彼女に至るただ一つの道があるだけである。彼女がそんなにも細いのはそのためだ。他の可能性や機能はすべてそぎ落とされている。彼女の全実在は見られているという事実に還元されている。(p.239)

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見るということ
ジョン・バージャー 飯沢 耕太郎
筑摩書房 2005-08-10
評価

by G-Tools , 2006/06/22

Alberto Giacometti Alberto Giacometti: A Biography of His Work