Seascape 海景 -- 風をめぐる旅 : 矢部 洋一

水平線の向こうに、陸地が見え隠れする。水平線という言葉のイメージからすると、ちょっと奇妙に感じるけれども、海は決して平らではないのです。海原は、絶えず揺れ動き、うねりが重なり合って丘をつくり、波の谷を潮が押し流れる。陸の世界とは、まったく異なる力学で、時々刻々と地形は変化する。

海風、波風、天つ風(あまつかぜ)。水面に映る風は、水圏のもうひとつの流れ。水と大気が循環する、不確かな世界だが、だからこそヨットは帆を張ることで、七つの海を自由に行き来することができるのだろう。

Seascape 海景--風をめぐる旅』は、そんな大海を巡るヨットから見る風景が切り取られた写真集。昼に夜に朝焼けに、風の中を駆け抜ける、疾走感が心地よい。


風景という言葉、
風の景色か。
うつろいと、確かさと。
刻々と変わりゆくすべてのもの。
写真がとらえるのはその一瞬の何か。
人間が見ているようで見えてはいない、
変化の途中のその一瞬。
海辺に、海に、旅を続ける。

Seascape 海景--風をめぐる旅』より

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Seascape 海景--風をめぐる旅
矢部 洋一
舵社 2006-07

by G-Tools , 2007/07/22